プロジェクトストーリー02 | サステナビリティ推進に向けた取り組み

なぜ今、サステナビリティの推進が必要なのか。

Y.T

本部のSX推進部で「GX推進グループ」のグループ長を務めています。「SX」は「サステナビリティ・トランスフォメーション」、「GX」は「グリーン・トランスフォメーション」のことで、お客さまや地域のSX・GX実現に向けた啓発活動や各種提案、サポートを行うのが我々の任務です。

※SXとは、企業が社会持続可能性に貢献しながら、自社の長期的な成長と価値創造を目指すこと
※GXとは、化石燃料中心の産業・社会構造を、太陽光や風力などのクリーンエネルギー中心の構造へと転換し、経済社会システム全体を変革すること

K.K

私は主に北陸で、自社・お客さま・地域の気候変動対応強化を進めています。上場企業にはサステナビリティ情報の開示が求められており、金融機関は自社で排出するCO₂こそわずかですが、サプライチェーンで見ると投融資という形で関わるお客さまの排出量も私たちのものとみなされます。そうした国際ルールも背景にあり、地域の脱炭素化は金融機関が率先して取り組むべき使命であると考えています。お客さまの持続可能な成長を支えるという観点からも、私たちがSXを推進する意義は非常に大きいと感じています。

Y.T

北海道でも昨今、記録的な豪雨や気温上昇が続き、気候変動が他人事ではなくなってきています。銀行は地域のあらゆる産業や家庭とつながっているからこそ、課題を総合的に見渡し、資金や知識を提供して「持続可能な経済の仕組み」をつくる役割を果たせます。我々が「サステナビリティ推進のハブ」となることで、地域の脱炭素化は確実に前進しますし、私たち自身が信頼され続けるためにも欠かせない取り組みだと考えています。

ほくほくフィナンシャルグループだからこそ実現できる価値

Y.T

とはいえ、北海道は1次産業に従事するお客さまが多いこともあり、「コストがかかりそう」「うちには関係ないのでは」と感じているお客さまが少なくありません。まずはその必要性や市場動向、導入のメリットをわかりやすく伝え、「やってみよう」と思ってもらうきっかけづくりに注力しています。GHG排出量の算定をサポートさせていただくと「こんなに出していたのか」と驚かれ、そこから相談がスタートするケースも増えていますね。私たちの役割は、お客さまの脱炭素への“第一歩”を後押しすることだと思っています。

K.K

北陸もしかりです。製造業が多い地域柄、大企業と取引のあるお客さまの関心は高いのですが、まだまだ距離を感じておられるのが現状です。そこで、「エネルギー使用量を抑える省エネの取り組みによってコストダウンが図れますよ」「企業イメージが上がって人材確保の面でもメリットがありますよ」と、脱炭素はあくまで経営戦略の手段だという切り口でアプローチするよう心がけています。また、富山県からの受託事業でGXに関するセミナーの企画・運営を担当した時、セミナー後のアンケートに「大変参考になった」という意見があり、うれしいと思うと同時に「県内企業の意識を底上げしていかなくては」と、改めて我々の役割を実感しました。

Y.T

地域に密着したほくほくフィナンシャルグループならではの取り組みですね。私たちの強みは「地域に根ざしたきめ細かさ」と「広域グループならではのスケール感」を併せ持っていること。北海道と北陸、それぞれでお客さまに寄り添い、グループ全体で知見や人材を共有し、補い合える。これは単独の地方銀行にはない、大きな価値ではないでしょうか。具体的に例を挙げると、北陸で先行した洋上風力発電事業の知見が、これから予定される北海道の洋上風力発電事業の検討に生かされたり、北海道で生まれた森林由来の環境価値を北陸のお客さまへ提案したりと、地域をまたいだ「知見やノウハウの循環」が生まれています。もちろんこうした取り組みはメガバンクでも可能だと思います。しかしながら私たちは、地域企業との距離が近い地方銀行だからこそお客さまの課題を肌で感じ、最適な提案ができます。「身近で頼れる存在」でありながら「広いネットワークを持つパートナー」でもある。それがほかにはない価値だと思っております。

K.K

おっしゃる通り、営業基盤が広域であることで、さまざまなチャネルを駆使して情報収集し、互いのエリアに展開していけるのは大きな強みだと私も思います。サステナビリティ推進をより広く展開していくために現在、研修や勉強会を通じて北海道と北陸、両行のあいだで脱炭素の基礎知識やお客さま対応のノウハウを共有する取り組みも進んでいます。Y.Tさんの発案で、表彰制度もできましたね。

Y.T

サステナビリティ推進を加速させるためには、両行それぞれ成果を共有し、仲間を讃え合う場がどうしても必要だと感じたのです。実際に動き始めると、北陸銀行と北海道銀行では評価体系や表彰の文化が異なり苦労もありましたが、互いに知恵を出し合いながら一つひとつ課題を乗り越えることができ、グループが一体となったサステナビリティの推進意識が根付いたことは大きな成果でした。

北陸と北海道から新しい産業を発信

Y.T

GXは、企業にとって成長のチャンスでもあります。大企業においては、取引先が脱炭素化への取り組みを実施しているのかどうかということを一つの取引判断としているケースもあります。それは即ち、他社に先行してGXに取り組むことによって新たな取引機会につながることを示しています。

K.K

脱炭素社会への移行によって、新しい市場の創出や技術革新にもつながりますね。

Y.T

北海道は再生可能エネルギーのポテンシャルが日本随一と言われており、今後は、太陽光や洋上風力など、新たな再生可能エネルギー事業も進むと思われます。しかしながら、最近では地域が望まない再生可能エネルギー事業が進行していることも耳にします。私は業務を行ううえでは、「地域の未来に責任を持つ」ことを常に意識しています。地方銀行としてその地域の10年、20年先を見据え、お客さまと共に歩む姿勢が大切です。自分が関わった案件が地域に活力をもたらし、お客さまと一緒に地域の未来をデザインしている感覚を味わえる——その瞬間こそ、この仕事の最大の喜びと誇りを感じます。

K.K

SX推進部は2023年4月に立ち上がったばかりの部署であり、あらゆる取り組みが社内でも新たなチャレンジです。また世界のトレンドが次々と入れ替わるので、自分たちも常にアップデートを続ける必要があります。実際、次に何に取り組むかを部員一人ひとりが考え、実行に移すというサイクルができており、やりがいは尽きません。

Y.T

K.KさんはSX推進部の前は環境省に出向していましたね。外部で働く経験は貴重だと思いますが、実際いかがでしたか？

K.K

とても刺激的で楽しい経験でした！このようなチャンスを与えてくれた会社に感謝しています。サステナビリティ経営は「将来世代のニーズを満たす力を損なうことなく、今の世代のニーズも満たす」ことができる経済、社会の状態を指します。お客さまにはサステナビリティ経営を、コスト削減や人材確保といった自社の課題を解決する手段と捉えていただきたいですし、営業店の行員にとっても、新たな観点でお客さまと対話ができるきっかけになると思っています。そして最終的に、サステナブルファイナンスのような次の融資、次のソリューションの提案につながっていけばうれしいです。SX・GXが実現した社会がどれだけ発展しているのか、わくわくしながら業務に当たっています。

Y.T

サステナビリティ推進の課題は脱炭素だけではありません。持続可能な社会の実現には、課題は多岐にわたります。ですから、多様な考えは大歓迎。いろんなアイデアを持った人間が集まり、刺激し合える組織が理想ですね。そしてK.Kさんが言うように、私たちの仕事は常に新しい挑戦の連続です。その積み重ねが地域の持続可能性を高め、次の世代につながる未来を築くことになると信じています。